2023年10月13日
9月議会閉会
9月議会が閉会しました。昨年度の岡山市決算等について、全17決算・議案中、3決算の認定に反対する討論に立ちました。
以下に討論の全文を載せます。
日本共産党岡山市議団の東つよしです。決算審査特別委員会における日本共産党岡山市議団からの委員長報告に対して反対討論をいたします。
決算について、全国町村議会議長会が発行している「議員必携」の第12版、今年4月に出された最新のものでは、274ページに「決算の意義と考え方」という項があります。「適正に執行されたかどうかを審査するとともに、各種資料に基づいてその行政効果や経済効果を測定し、住民に代わって行政効果を評価する」とあります。次のページの「決算認定制度の意義」でも「最も重要な意義は…『行政効果の客観的判断と、今後の改善や反省事項の把握と活用』である」と明らかにしています。だからこそ議会という場で次につながる議論を十分な時間をかけて行う必要があると思います。
令和4年度の決算について、執行が適正かという点だけでなく、行政効果、そもそもの事業目的から判断し、執行自体すべきでなかったものには、認定できないという立場で反対をします。
路面電車岡山駅前広場乗り入れ これは
○令和4年度岡山市一般会計決算歳出第8款土木費第20項都市計画費第1目都市計画総務費第14節工事請負費中、岡山駅東口広場整備工事費など、路面電車岡山駅前広場乗り入れに関わる施策計3.9億円余です。
令和4年度は、経費が43億円だったものが法令の認識不足で86億円に増えることが令和4年1月に発覚、その後2月に66億円に圧縮した時です。法令の認識不足で経費が増えるという事実は、2年近く隠されてもいました。予算案には、昨年の2月議会の3月15日に当時在任中だった羽場議員が反対討論に立っていました。予算が大幅に増えたことを問題だとして、「議会がこれは駄目なものは駄目だという判断を示すことが結局将来のためにもなると思います」としめくくっています。本事業は、この8月末に経費が22.5億円増えて88.5億円になると明らかになり、本会議での質問でまだ増える可能性があるという答弁もありました。はじめ10億円程度だとしていたものが、たいへんな経費増です。羽場議員の指摘はもっともだったと思います。いったんストップすべき事業であると指摘します。
苫田ダムからの受水関連 これは
○歳入第23款繰入金、第1項特別会計繰入金、第1目特別会計繰入金、第1節水道事業会計繰入金 1,869万円
○歳入第26款市債、第1項市債、第4目衛生債、第15節上水道整備債、岡山県広域水道企業団水源開発出資金充当 2億4,490万円
○歳出第4款衛生費、第15項上水道整備費、第1目上水道整備費、第18節負担金補助及び交付金 岡山県広域水道企業団運営費等負担金1,904万円余 及び第23節投資及び出資金 岡山県広域水道水源開発等出資金 2億4,496万円
○歳出第2款総務費、第1項総務管理費、第20目企画費、第18節負担金補助及び交付金中 吉井川水源地域対策基金負担金 399万5千円(P171)
○令和4年度岡山市水道事業会計歳出第1款水道事業費用第1項営業費用第2目受水費中苫田ダム関連分21億円余、第2項営業外費用第2目他会計繰出金1,869万円です。
苫田ダムからの受水に関わる歳入歳出です。岡山市は昨年末、水道料金値上げの検討をすると明らかにし、現在平均20%の値上げを来年4月に行うとしています。水道事業の資金不足が理由です。人口減少や節水機器の普及などで給水収益が減る中、水道料金収入だけで、古くなった水道管の更新をおこなうことは不可能です。水道料金の値上げ幅を検討する際に、水道管の更新頻度を100年に一回から140年に一回に変えるといった議論がされています。水道料金の値上げと必要不可欠なインフラ整備を天秤にかけるのはあまりに危ういです。そもそも100年に一回という更新でいいのかという問題です。「独立採算」だからと言って値上げで対応することは、物価高の中で市民生活への深刻なおいうちになります。一般会計、市の税金からの繰り入れで、市財政全体のやりくりの中で負担増を避けることを求めます。
年間21億円もの苫田ダムからの受水についてはただすべき出費だと考えます。1㎥あたり132円という値段は、市の独自水源の4倍もの高さです。水の消費が減る中でわざわざ買うべきものではありません。
もともと苫田ダムは国や県が住民の反対を押し切って作られたムダなダムです。この水を扱う岡山県広域水道企業団には、年21億円の受水費だけでなく、職員の人件費など運営経費である運営費等負担金や、インフラ整備に関わる水源開発等出資金も出しています。国と県が作ったダムなのに現地自治体にお金を出す仕組みまで作られています。水道料金値上げを検討する一方で、広域水道企業団の枠組みに手を付けることなくお金を出し続けた決算は認められません。見直しを提起すべきであったし、これからすべきだと指摘します。
自衛官募集事務 これは
○歳入第19款国庫支出金、第3項委託金、第2目総務管理費委託金、自衛官募集事務費委託金 97,256円
○歳出・市広報紙への募集記事の掲載、宛名ラベルシール購入の計97,256円
です。
防衛は国の専管事項であるとしながら、募集事務に市がたずさわることはスジが通らないことだと考えます。また市民の個人情報提供の要請を受けるか断るかは岡山市の判断にゆだねられるものです。
今、自分の情報がどこでどう使われているかを知り、嫌なら止めさせる個人情報の自己コントロール権という考え方が広がっています。市の広報誌で個人情報の提供を止めてと申告できると知らせていても十分な周知だとはとても言えません。国が個人の権利を侵すことやそれに市が手を貸すのではなく、国民の権利を守る責任をはたさねばなりません。執行するべきものではないと考えます。
家庭ごみ有料指定袋関連 これは
○歳入第18款使用料及び手数料、第2項手数料、第4目衛生手数料、第2節清掃手数料中、家庭系ごみ処理手数料 9億3千335万余
○歳出第4款衛生費第5項清掃費第1目清掃総務費中,家庭系ごみ有料化事業費3億1,000万円 です。
家庭ごみ収集は自治体固有の仕事であり、有料指定袋の導入から行うべきではないと指摘してきました。売り上げによる利益は温室効果ガス削減などに活用しているとは言いますが、環境施策や不当投棄対策は、売り上げの有無に関わらずやらねばなりません。地球環境対策はごみ袋に関わらず市の使命であることは、この夏の暑さでもはっきりしていると考えます。
県北の真庭市では、家庭から出る生ごみの再資源化に挑戦しています。水分の多い厨芥類を燃やさなくて済むなら、ゴミの減量と焼却にかかる燃料削減が一気にすすみます。真庭市長のお話では、生ごみの再資源化の邪魔になるプラスチック類の混入が、どんどん減ってきているということです。重要なのは市民の環境への理解と思いだと感じました。ごみを出すなら金銭的な負担をかけるという姿勢から、市民とともに気候危機に対抗できるごみ行政への転換が必要だと指摘します。
瀬戸内市の新火葬場 これは
○歳入第26款市債、第1項市債、第4目衛生債、第1節保健衛生債、斎場整備事業費充当 2億5,800万円中、瀬戸内市斎場分
○歳出第4款衛生費第1項保健衛生費第30目火葬場費のうち瀬戸内市新火葬場整備事業費2億9,235万円余 です。
瀬戸内市内の新斎場に岡山市分の火葬炉2炉を確保するための決算です。
現在、東山の14炉は活用されていますが、北斎場の12炉はまだ稼働状況は高くありません。西大寺斎場がなくなり、将来の利用が一時的に高くなることはありえます。しかし利用予測のピークは岡山市と瀬戸内市ではズレがあります。瀬戸内市などよその自治体の火葬場を利用した際に補助を出すなど、運用面で対応すればこれ以上の火葬場を作る必要はないと考えます。
北長瀬アリーナ これは
○歳出第2款総務費・第1項総務管理費第46目スポーツ振興費第12節委託料のうち、調査委託料385万円 です。
83億円かかるとも言われているアリーナ建設の調査のためのお金でした。地元のトップスポーツチームが上のリーグに行くためにより多くの観客が入ることのできるスポーツ施設が必要だということであります。北長瀬の市有地を貸すなどの地元スポーツチーム支援は行えばよいと考えますが、市民生活が厳しいときに多額の財政負担の伴う建設に税金を投入すること、そこに道を開くことは認められません。
医療扶助オンライン資格確認導入事業 これは
○歳入第19款国庫支出金、第2項国庫補助金、第3目民生費国庫補助金、第15節生活保護費補助金 社会保障・税番号システム整備費等補助金429万円
○歳出第3款民生費第15項生活保護費第1目生活保護総務費第12節委託料の医療扶助オンライン資格確認導入事業 です。
国が進める生活保護の医療扶助へのオンライン資格確認の導入事業です。生活保護受給者の資格情報や医療機関等の情報を、「社会保険診療報酬支払基金」というものオンライン資格確認システムに登録し、マイナンバーカードを用いてオンライン資格確認を行う、平たく言えばマイナンバーで保護受給者の医療の利用の監視をしやすくするためのシステム改修です。生活保護受給者の頻回受診などの問題は、現在も適切な指導が行われていると認識しています。不要な事業である上に、マイナンバーカード取得の事実上の強制につながりかねない問題があり、認められません。
マイナンバーカードの図書館利用者カードとしての利用 これは
○歳入第20款県支出金第2項県補助金第10目教育費県補助金、第25節社会教育費補助金 マイナンバーカード図書館利用環境整備事業費補助金56万4000円
○歳出第10款教育費・第25項社会教育費第15目図書館費のうちマイナンバーカードを図書カードとして利用することに関わる費用125万円余 です。
県のつくった補助金ですが、現行の図書館利用カードほど利用範囲は広くなく、事業の消費税分も更新費用も岡山市もちです。マイナンバーカードの普及のためなら何でもありなのかと感じました。岡山市は乗るべきではなかったと指摘します。マイナンバーカードは、多くの情報がつながる仕組みであり、気軽に持ち歩いて紛失などすれば、個人番号から情報流出する危険がきわめて大きいものです。カードの利用促進のためにあれこれ紐づけすること自体に反対します。
市立幼稚園保育園の統廃合民営化 これは
○歳入第26款市債、第1項市債、第3目民生債、第10節児童福祉債、保育園・幼稚園一体型施設整備費充当総額7億2,100万円中、統合される庄内と浦安・芳泉、西大寺認定こども園、廃止民営化される西大寺南、大元、豊、財田に関わる決算
○歳出第3款民生費第10項児童福祉費第1目児童福祉総務費および第16目認定こども園費14節工事請負費のうち、市立こども園化する庄内、浦安・芳泉、西大寺に関するものおよび民営化廃止となる西大寺南、大元、豊、財田に関するもの です。
保育園待機児童がほぼ解消したとしながら、保育園未入園児童は数多く残されています。市は、未入園児童は国定義で待機児童ではないと言いますが、実際には、仕事の都合や兄弟関係等で通える園が限られている方は、多くおられます。
未入園児童問題に正面から向き合わず、市立園の統廃合民営化を何が何でも進めるやり方自体を改める必要があると考えます。
学校給食調理業務民営化 これは
○歳出第10款教育費第30項保健体育費第15目学校給食費第12節委託料のうち、給食業務委託料10億6,788万円余および第24節基金積立金2,337万円余および同・基金運営費1,030万円余 です。
かつて岡山市の学校給食は、それぞれの学校で調理する自校調理を、岡山市自身が行う直営で行っていました。各校に栄養士を配置し、学校ごとのメニューや、条件のあるところは地元の農家に直接食材を納入してもらい顔の見える食育が進められていました。しかし直営の調理に民間委託がもちこまれ、令和4年度に直営3割、民間7割に拡大されました。岡山市学校給食運営検討委員会では、当局から調理に関わる人員不足から直営の割合を下げるしかないと読めるデータがだされ、民間委託拡大に誘導されたように見える流れでありました。これまでの民間委託では、請けようという会社が間際で撤回し、1学期に渡って周辺の学校から給食を運んでくるといった混乱もありました。検証も十分されることなく、委託拡大ありきで進めることは認められません。
大規模給食センター建設 これは
○歳入第26款市債、第1項市債、第10目教育債、第30節保健体育債 学校給食センター建設費充当 3,190万円
○歳出第10款教育費第30項保健体育費第15目学校給食費のうち学校給食センター建設に関わる3,709万円余 です。
先にふれた岡山市の誇るべき自校調理も、給食のセンター化がすすめられています。岡山市は中学校の給食は原則よそで作って運ぶセンター方式にするとして、まず中区赤田の給食センターを海吉に建て替えるとともに給食を運ぶ学校を7校増やして12校にしようとしています。令和4年度に新岡山学校給食センター(仮称)整備運営事業に係る実施方針が示されました。新たに配送される学校は南区の福南中学校などで、はるばる10キロ先まで届けることになります。スケールメリットが理由に挙げられていますが、どうして子どもたちにできたての給食を出してあげないのか。認めることはできません。
山南学園の経費 これは
○歳出第10款教育費第5項小学校費第10目学校建設費第14節工事請負費1億4,141万円余は「山南学園施設整備に伴う渡り廊下新築工事費」 です。
令和4年度開校した義務教育学校「山南学園」に関わる決算です。岡山市内では「あしもり学園」といった小中一体校の実例がありますが、それへの検証なく山南学園の計画が進みました。体のいい学校統廃合だったのではという思いはぬぐえません。小学校のなくなった地域からはさみしくなったといった声もうかがうところでもあります。
岡山っ子アセス これは
○歳出第10款教育費第1項教育総務費第5目事務局費第12節委託料のうち、学力調査委託料5,795万円余 です。
当初、岡山っ子アセスは岡山市の先生がつくり、岡山らしいアセスをすると言っていました。そのときには反対はしていませんでした。ところが企業に委託してつくってもらうことになってしまったのです。岡山市のテストなのになぜか全国との比較も出るようになっています。これでは全国学力学習状況調査・全国学力テストに備えるテストに変質しています。子どもを全国学力テストというモノサシで競争させることに傾倒していないか、学力の調査が要るなら悉皆、全員のテストでなく抽出で十分だと考え、岡山っ子アセスの変質はすべきでなかったと指摘します。
校納金同意書 これは
〇歳出第10款教育費第30項保健体育費第15目学校給食費のうち校納金同意書に関わるもの です。
学校は、給食費など学校校納金の支払いを前に、借金の連帯保証人のような第3者の連絡先を記入した同意書を出させています。まったく教育的でないプレッシャーを保護者に与えるのにも関わらず、同意書の提出率が上がれば納入率が上がるといった効果は検証できないという実態です。行うべきでないと言わねばなりません。
最後に、
〇第10号 令和4年度岡山市後期高齢者医療費特別会計歳入歳出決算
これは保険料を値上げした決算です。料金決定については、後期高齢者広域連合が決めることであり本特別会計で直接関与できるものではありませんが、今の物価高の中、年金は相対的に目減りする一方で各種保険料負担が重くのしかかる状況の一端であることは間違いありません。値上げの決算は認められません。
以上です。議員のみなさまのご賛同をお願いし、討論を終わります。
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