
2月議会で質問しました。
児童虐待にあたる、こども総合相談所の人員体制について、児童福祉司1名、児童心理司1名の増員が行われます。ただし定数内です。職員一人当たりのケース数は国の目安の1.5倍であり、充実が必要です。地域こども相談センターも増員の方向で検討されています。
路面電車岡山駅前広場乗り入れについて、今年度から地下商店街の工事を行う予算を組む一方、予算編成前から予定通り工事ができないことが当局の内部では分かっていました。商店街の経営を考えるなら公表を急ぐべきでしたが、市は混乱を招くと今年1月に公表が遅れたことを正当化しました。
以下、質問本文です。
1,児童虐待について
今年1月に6歳で亡くなった女児の虐待について質問します。この子は私の上の子と同い年で誕生日も同じくらいです。このようなことが無ければ、今は小学校入学を前に希望に胸をふくらませていたかもしれません。心が痛みます。
市は、救急搬送されるまで虐待の程度を「軽度」としていました。「第3者の暴力を止められないネグレクト」というものですが、暴力を加える第3者は近くにいたのです。それを止められないのですから、DVによる家庭内支配を疑い、重大視しなくてはならないケースだと考えます。
2019年1月の千葉県野田市の虐待死事件の後、厚生労働省は「家族に関する種々の情報を統合した、家族全体のアセスメントができていなかった」「ケースを理解するうえで、母だけでなく父に関するアセスメント・対応が十分行えていなかった」などの課題を示しました。この教訓をくんでいれば違う結果になったのではと思います。
質問ア:知人男性によるDVや家庭内支配の把握はされていましたか。
質問イ:虐待の程度の判断基準は、知人男性も含む全体の状況を反映したものになっていますか。
質問ウ:一時保護の際、母親、知人男性、被害児に何を聞き取ることにしていますか。きょうだいへのフォローや聞き取りは行われましたか。
質問エ:きょうだいの学校園を通じて被害児への虐待の把握はできなかったのでしょうか。
質問オ:こども・文教委員会での議論では、市の判断に誤りがなかったという見解でしたが、野田市の教訓をくんだものになっていないのではないでしょうか。
質問カ:委員会で、自宅訪問は複数でなく一人で行っていたことや、面会できなくてもそのままだという話に驚きました。自宅訪問の際、より的確に情報収集すべき改善点が無かったでしょうか。
質問キ:2020年に引っ越す前には、住民からの通報が多かったといいます。きょうだいに地域住民が食べ物をあげるなどの支援もありました。しかし転居先では通報はなく、要保護児童対策地域協議会とも情報共有をしていながら虐待の把握には至りませんでした。リスクのある家庭を転居先でも地域で支えることができませんか。課題はありますか。
市の児童虐待に係る体制についてもおたずねします。
質問ク:児童虐待防止条例が成立した際、実行計画の必要性が関係者から指摘されました。岡山市でも策定しませんか。
質問ケ:こども総合相談所の人員体制について、岡山市は2018年の国の基準改定後、いち早く基準をみたしました。元々国基準より多く配置されていたものです。さらなる増員をはかりませんか。
質問コ:地域こども相談センターの人員であるこども相談主事は、2017年からスクールソーシャルワーカーとして学校に詰める仕事が加わりました。業務の増加に対応し、地域子ども相談センターの増員も必要ではないですか。
質問サ:コロナの中で全国的に児童虐待の増加が報道される中で、岡山市は件数が減っています。潜在化の懸念を持ち、発見、対応を強めていただきたいですが何ができますか。
質問シ:児童虐待に係る相談や通報の昨年度の新規と継続の件数は何件ですか。職員一人で対応、判断する場合がありますか。
(図解説:岡山市の子ども子育て支援プラン2020は児童虐待防止条例をうけた内容でない上に、児童虐待の項は3ページしかなく、充実が必要)

2,路面電車岡山駅前広場乗り入れについて
岡山市は1月、路面電車の駅前広場乗り入れの計画変更を発表しました。経費が66億円に増えること、完成が約2年半遅れて2025年秋ごろになることなどです。
経費は当初9.8億円としていました。その後、駅前広場を後楽園風にすることなどで43億円にふくらみ、現在は当初の6倍を超える予測です。
駅前広場乗り入れは止め、交通不便地域を含め市民全体の交通権・移動権を保障できる交通政策へ見直しを求めます。
質問ア:計画変更後の費用対効果B/Cは、1.052ということです。Bに何が含まれますか。以前出された数字と異なる点は何ですか。Cについても同様に明らかにしてください。
質問イ:経費について、これ以上増えないという答弁でした。材料費や人件費以外で経費が増える要因はないということになりますか。
質問ウ:法令上の理由で計画の見直しを余儀なくされました。これで法令上の課題は全て解決されたと理解していいですか。
質問エ:地下街の概算事業費の増加の判明は2020年12月、軌道の事業費増が判明したのが2021年3月ですが、市長への報告は2021年7月でした。報告、連絡、相談、いわゆる「ほうれんそう」は、悪い情報ほど早く行うことが必要だと言います。今後繰り返さないようにすべきではないですか。
質問オ:計画変更の公表は今年の1月で、市長への報告から半年後でした。いち早く経費増大を公表する必要性を感じなかったでしょうか。
質問カ:地下街の商店の方にとって工期や工事の範囲の変更は死活問題です。元々2022年度中完成予定の事業で、1年前の当初予算で移転補償費が計上されていたのにも関わらず、少なくとも年明けの時点で何も知らされていなかったのです。情報公開が早ければ避けられた混乱だと思います。影響をどう見ていますか。
質問キ:バス協会、タクシー協会、町内会、商店街への説明は、いつ、どなたに行いましたか。都市・環境委員会への説明がないのはなぜですか。
質問ク:経費の増加、情報公開に時間がかかったこと、そして4年もかけて検討したものを市内部で変更したことは、それぞれ大きな問題があると考えます。どのような認識をお持ちでしょうか。
質問ケ:経緯を市民に明らかにし、計画を白紙から検討しなおしませんか。
3,災害への備えについて
県が1月25日、室戸台風(1934年)の気圧910hpと伊勢湾台風(1959年)の風速(最大旋衡風速半径75km)、移動速度時速73kmという、最大規模の想定の高潮による浸水想定区域図を作りました。
浸水面積は南区岡南地域をはじめ多くの地域が高潮被害を受けた、2004年の台風16号の浸水エリア(計約9平方キロ)の45倍です。
浸水想定には、100年〜150年に一度とされる「計画規模」降雨による洪水も加えています。その結果、洪水ハザードマップと想定雨量が同じなのに浸水域が異なるという、分かりにくさがあります。
県のHPの高潮浸水想定に避難場所などの記載はありません。市ハザードマップへの共有を急いでいただきたいです。
質問ア:市民には、高潮浸水想定と洪水ハザードマップとで浸水域の違いがあるもとで、何を活用することを呼びかけますか。
質問イ:市の避難場所や避難所には、高潮で浸水する、孤立する所がどれだけありますか。
(図解説:左が洪水ハザードマップ、右が県の高潮浸水想定区域図。同じ降雨量想定なのに浸水想定に大きな違いがあり、分かりにくい)
