6月岡山市議会が閉会しました。陳情「介護保険対象者の障害者総合支援法の福祉サービス上乗せ条件の撤廃について」が賛成多数で採択されました。65歳をこえる障害者に介護保険を押し付けてサービス支給に条件をつくっていることをなくせと求めるものです。要介護4以下になると、上乗せ支給ができない問題が岡山市にはあり、今まで何度も質問で取り上げてきました。市の態度は非常に後ろ向きだったので、議会として意思を示したのは大きな前進です。真摯な対応に期待します。自民党・無所属の会が反対しました。
請願「ペット霊園の設置等に関する条例の制定について」は趣旨採択でした。より強い意思表示である採択を求めましたが、一歩でも前進することを選びました。私の質問に対する市長答弁ですでに何らかのルール作りを進めるとしています。いち早い対応を求めます。
提案されている議案に対しては、日本共産党は全52中3に反対しました。
陳情「集団的自衛権についての憲法解釈変更をしないよう求める意見書の提出について」、私は採択を求める討論を用意していましたが、使わずに終わりました。この陳情は総務委員会で継続審査ということになっていました。採決で白黒はっきりすべきという自民党・無所属の会と共産党に対し、他の会派は継続審査を要求、同数だったので委員長が継続審査としたのです。今日の本会議で継続審査とするという申し出がされたのですが、「先送りすべきでない」という声が上がり、改めて採決することになったのです。自民党・無所属の会と共産党が継続審査に反対の討論に立ち、公明党が継続審査賛成の討論に立ちました。結果は賛成が多数でした。あと2人以上反対に回れば、各議員が集団的自衛権についての態度を明確にすることができたのですが、そうなりませんでした。私は陳情が不採択になったときに備えて反対討論を用意していたのですが、出番がありませんでした。
安倍政権は7月1日か4日に集団的自衛権の閣議決定をすることになっています。市民が関わる大問題に、継続審査では9月議会まで審査する機会がなく逃げにしかなりません。岡山市議会には、自民党、民主党、公明党、共産党などの党に所属している議員がいますが、自民党と共産党以外は立場を明確にしなかったと言えます。
以下に用意したけれども読まなかった反対討論を載せます。
日本共産党岡山市議団の東つよしです。ただいまの委員会の審議結果に反対の立場で討論させていただきます。
陳情13号「集団的自衛権についての憲法解釈変更をしないよう求める意見書の提出について」は採択すべきものと考え、以下理由をのべます。
集団的自衛権について、防衛省のHPでは「憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものであって、憲法上許されないと考えています」と書かれています。政府が60年間堅持してきた「自衛権発動の3要件」では、武力行使を「わが国への急迫不正の侵害(武力攻撃)が発生した場合」に限定しているのです。この要件を安倍政権は「他国に対する武力攻撃が発生」した場合にも拡大するものです。
「どこそこの国が危ない」といった話を持ち出して集団的自衛権を後押しする議論がありますが、他国の侵略から日本の国民と国土を守ることは個別的自衛権で対処できるものであり、集団的自衛権の出番はありません。
今までの自衛隊海外派兵立法と集団的自衛権には質的な違いがあります。イラク特措法やテロ特措法では、武力行使しないことが前提であり、そのための保障として「戦闘地域に行かない」ことが明記されていました。戦闘で殺し、殺されないために、ときの政府なりにつくった歯止めです。
しかし集団的自衛権についての国会審議では「戦闘地域に行かない」という歯止めを残すとは安倍総理は言いませんでした。拡大する方向での検討がされています。戦地に行けば戦闘にまきこまれます。アフガニスタン戦争のときに、NATO諸国は集団的自衛権を発動して参戦しました。内容は米軍の後方支援でしたが、戦地での武力行使には違いがなく、戦闘で1000人を超える人が亡くなりました。
イラク特措法で派遣された自衛隊員のうち1割から3割が精神に不調をきたし、帰国後28人が自殺をしています。集団的自衛権で日本防衛とは関係のない戦争に参加し、これ以上の犠牲を自衛隊の若者に負わせていいのでしょうか。戦後一人も戦闘で人を殺さなかった歴史を血で汚しでいいでしょうか。
武力行使の用件について、第1要件の「おそれ」という表現を「明白な危険」に、「他国」との表現を「密接な関係にある他国」と変更しました。これでなんからの歯止めになるかのような報道がありますが、判断するのは時の政権であり何の変わりもありません。集団的自衛権に加えて、集団安全保障の軍事的措置参加にも“抜け道”がつくられようともしています。実際、自民党副総裁の高村氏は中東ペルシャ湾での戦時中の機雷除去を含め、それまで議論してきた全事例が「視野に入る」と指摘し、機雷除去について「弾丸が飛び交う中でやるかやらないかは判断だ」と述べています。「限定的解禁」と言っても実際は無限定です。
解釈変更の閣議決定の想定は「7月上旬の豪州訪問まで」の7月1日か4日といわれています。9月までにガイドライン改定の日本側概要をまとめ、なんとしても「年末のガイドライン(日米軍事協力の指針)再改定に憲法解釈変更を反映させる」ためだということです。向いている方向はただ一点、アメリカとの都合であります。一方、世論調査では集団的自衛権行使にも解釈改憲に対しても反対が5〜6割。地方議会では24日現在、反対の意見書が114、慎重な対応を求める意見書が14あがっています。広がる国民の声や地方の意見を受け止めなくていいのでしょうか。
自民党、公明党の間で与党協議がされています。与党協議は国会での審議と違い、議論が国民の前に明らかにされず、野党ははじめから議論からはじかれる密室協議です。憲法解釈について、一内閣の判断で国民の声も聞かず拙速に変えてしまっていいのでしょうか。
そもそも憲法とは、主権者である国民が権力者をしばるためのものです。近代立憲主義として確立している考え方で、実際日本国憲法99条では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とさだめています。だから憲法の解釈も、時の権力者によって、自由勝手に変えることが許されるというものではありません。もしもそれが許されたら憲法が憲法でなくなってしまいます。2004年、小泉純一郎首相が集団的自衛権と憲法との関係についての答弁で“解釈変更が便宜的、意図的におこなわれるならば、憲法に対する国民の信頼が損なわれてしまう。憲法について見解が対立する問題は、便宜的な解釈の変更をすべきではない”と言っています。今行われようとしている解釈改憲は憲法の在り方そのものをひっくり返そうとするものです。
それがゆえに、集団的自衛権が必要と考えている人からも、解釈改憲には反対の声が上がっています。小林節慶応大学名誉教授は、憲法を変えて集団的自衛権行使をと言っている人ですが、6月9日発足した「立憲デモクラシーの会」に加わり、解釈改憲は「憲法に管理されている内閣が決めることではない」と厳しく批判しました。
戦争で平和は作れません。2003年にアメリカが攻め込んだイラクでは、今過激派組織が支配地域を広げ、米軍の装備で固めたイラク軍でも抑えられなくなっています。かつては普通に隣り合って暮らしていた人たちの宗派対立が激しくなっています。そして戦争の口実にされた大量破壊兵器は見つからずじまいでした。
北東アジアは、いくつもの紛争と緊張の火種を抱えています。解決のうえで、何よりも大切なことは、道理にたった外交交渉による解決、平和的解決に徹することです。集団的自衛権の容認では地域の緊張をいたずらに激化させ、「軍事には軍事」という危険な軍事的対応の悪循環に陥るだけです。危険な道にきっぱり決別することが、いま日本に強く求められています。すでに東南アジアの国ぐに――ASEAN諸国が実践している「東南アジア友好協力条約」(TAC)など、「紛争の対話による解決」をめざす平和の地域共同の枠組みが広がっています。日本共産党はこの努力を北東アジアでも構築しようと北東アジア平和協力構想を提案しています。
一つ目は、域内の平和のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結することです。
二つ目は、北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、これを平和と安定の枠組みに発展させることです。
三つ目は、領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶことです。
そして四つ目は、日本が過去におこなった侵略戦争と植民地支配の反省が不可欠の土台となるということです。
平和憲法は変えるのでなく、今こそ生かすときです。権力者に課せられた憲法擁護義務を無視して憲法解釈を変え、日本を殺し殺される国へと変える、集団的自衛権の解禁はすべきでないと考え、陳情の採択をうったえて討論とします。
2014年06月27日
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