初質問をしました。とにかく緊張しましたが、再々質問まで行いました。
再々質問では市長が「防災にはあらゆることを想定しなくてはいけない」と答弁に立ちました。
傍聴に来てくださった方々にはお礼申し上げます。
質問後、他会派の先輩や同僚議員から評価をもらえました。代替わりしても共産党市議団が元気であることを示すことができたと思います。
質問では、昭和南海地震などの過去の地震の聞き取りをして計画に生かすことや、津波が来るときの緊急避難所を対象となる住民の分確保するという前向きな答弁があったと思います。同時に、高齢者や障害者を登録した災害時要援護者台帳にもとづいて避難をすすめる計画をこれから作るのですが、担当部署が明確でないことの解決は今後の課題になりました。TPPについては、今まで「国の動向を見守る」という態度でしたが、多くの不安の声が起これば考慮するとなりました。反対の声を広げるときです。
以下、長いですが、質問の全文を載せます。
みなさんおはようございます。傍聴に来てくださったみなさん、お忙しい中をありがとうございます。日本共産党の東つよしです。東日本大震災で被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに、犠牲になった方々にお悔やみを申し上げます。私、5月に千葉県浦安市と宮城県仙台市に行きました。あまりの大きな被害に息をのみ、自然の恐ろしさを実感しました。それでも、市政にたずさわる者として、市民の命とくらしを災害から守るために全力をあげなくてはならないと、思いを新たにしたところです。では初質問を行います。
1、災害につよい街づくりについて
(1)防災計画に科学的見地の反映を
内閣府の「地震防災マップ作成技術資料」では揺れの強さに「地震の規模」「震源からの距離」「表層地盤」の3要件をあげています。似たような場所なら揺れやすさは表層の地盤の柔かさで決まるということです。これをうけて岡山市は「ゆれやすさマップ」をつくっています。東南海・南海地震の震度予測は、児島湾干拓地をはじめとする市南部は軒並み震度6弱になっています。
しかし昭和21年の昭和南海地震では、局地的に大きな被害が、南区の曽根〜藤田・大曲、中区沖新田南部、東区金岡などでおきました。藤田村史では「興除村との境に沿うて帯状に倒壊家屋が多かった」と書かれています。当時を知る曽根の住民は「通りの向こうは無事だったのに、こっちはバタバタと一列に家が倒れた」と話しています。
阪神淡路大震災でも、震度7のゆれで大きな被害を出した地域が東西に帯状に生まれました。「震災の帯」と呼ばれています。同じやわらかさの地盤でも特別ゆれやすいところがうまれるのです。
文部科学省は「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」(以下、大大特と呼びます。)という事業を行いました。成果報告書には「多様な速度構造を有する地殻上部においてどのように伝搬するかという問題を明らかにしていく必要があります」とのべています。表層の地盤のゆれやすさだけでなく、それより深い岩盤の構造を見なくてはならないと言う指摘です。
硬い岩盤から柔らかい地層に地震の波が入るとき、地震の波の進む方向が屈折、曲がります。岩盤にデコボコがあると、地震の波が集まって揺れが大きくなるところが生まれます。「焦点効果」といいます。阪神淡路大震災の「震災の帯」は深い岩盤の形による「焦点効果」のせいだと、すでに明らかになっています。
大大特の一員でもあった岡山理科大学の西村敬一教授が、岡山平野の岩盤の構造を調査しています。5月9日の山陽新聞に記事がありました。測定の結果は、児島湾干拓地は350メートルを超える深さまで柔らかい地層があり、岩盤のデコボコによって地震の波が集まって大きく揺れるところが出るというものでした。
この地震の波が集まるところは、昭和南海地震で被害の特に大きかったところとほぼ一致するということです。
防災計画を立てる際、大大特で明らかになった最新の科学的見地をふまえる必要があると思います。日本共産党河田議員の質問に、地震波が集中する学説の人を地域防災専門調査会に招くという答弁をいただいています。岡山市自身が研究して対策をとることは重要です。そのうえで震度計が児島湾干拓地に浦安南町と灘崎の2つしかない現状をあらため、数を増やすことが必要だと考えます。ここで質問します。
@岡山市防災計画の見直しにあたって大大特の見地を反映させる考えはないでしょうか。
A内閣府の「ゆれやすさマップ」の作成指針に大大特の見地を取り入れるよう求めていただきたいのですがいかがでしょうか。
B以上のことが間に合わなくても、昭和南海地震や安政地震で被害が大きかった地域は、過去の地震被害の周知と対策をとることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
C被害予測をたてるにあたり、根拠となるデータを開示し、つねに再検証できるようにしてはいかがでしょうか。
D児島湾干拓地に設置する震度計の数を市の責任で増やすお考えはないでしょうか。
(2)津波到達までの2時間半の対策について
ア 「逃げ込む先がない」地域での津波の避難先について
東南海・南海地震による津波は、地震からおよそ2時間45分で到達するといいます。M8.6で最大2.82メートルの高さになります。東海地震も同時におこればM9で、地震のエネルギーは4倍を超えます。そのときの津波の高さは、まだ予測がありません。地盤が沈下すればさらに被害が大きくなりえます。本議会の補正予算で家屋の耐震補強の補助金が出されています。関係部局の尽力の賜物だと思います。家が倒れなかった、あとは津波からどう逃げるかです。千葉県浦安市に視察に行ったとき、震災後閉店した店舗の壁に数十センチの土砂の跡を見ました。道路が液状化すれば車での避難は困難です。津波到達までの2時間45分、それこそ歩いてでも逃げ込める所があるかどうかが生死を分けることになりかねません。一方、市の防災計画を読むと、各機関の仕事は書いてありますが、全市民を災害から守るためにどうするかという視点が欠けているという印象を持ちました。七区のあたりで「津波が来たら私らはもう流されるしかないんじゃ」というお年寄りがおられました。まさに防災計画の穴をついた話だと思いました。実際、人口密集地の避難所収容能力は昼間人口の16.7%しかありません。お尋ねします。
@公的、民間問わず高い建物は緊急避難所として逃げ込めるよう、市が確保するという認識ですが、いつまでにおこなうのでしょうか。
A収容する人数の目標は周辺住民の数に見合ったものになるでしょうか。
B周辺に高い建物がない地域は、逃げ込める建築物をつくるというお考えはないでしょうか。
イ 地域の声かけのネットワークでいち早く避難を
3月12日、長野県栄村を襲った地震では震度6クラスが3回来て、全壊33棟、半壊153棟の被害が出ましたが、死者はゼロでした。消防団が家から出られないお年寄りを運び出すなど、地域のネットワークが大きな力を発揮したといいます。津波到達までの2時間45分、岡山市は全住民の避難を握って離さず、住民が声をかけあって残らず避難できるよう、自主防災組織の結成、充実につとめることが大事ではないでしょうか。
@災害時要援護者台帳に登録している人たちの避難支援の具体化のメドはどう立てるつもりでしょうか。
A住民一人ひとりが自覚的に動けるようにするために何が必要でしょうか。自主防災組織や防災マップが住民の手で継続的に研究、充実できるように、更新に継続的な補助をする考えはありませんか。
ウ 岡南飛行場の消防ヘリは移転が必要
岡南飛行場にある消防ヘリ「ももたろう」は、地震がおこったときには津波が到達するまでに飛び立てるようにしていると聞いています。しかし消防ヘリは飛行時間25時間ごとの整備が必要です。災害時に消防ヘリを運用するために格納庫は津波のこないところに移す必要があると考えます。ここでお尋ねします。
@22日の河田議員の質問で「液状化判定の対象とすべき土層は確認されなかった」という答弁でしたが、どのようなデータに基づくものでしょうか。
A消防ヘリの整備、補給の機能や救助の装備品、運用に関わる人員は、岡南飛行場以外に置かれているのでしょうか。
(3)災害の被害を最小限に抑えることについて
ア 液状化対策について
浦安南町に建設が予定されている南区役所の予定地周辺の地盤は軟弱です。災害時、区毎に現地対策本部を設置することとなっておりますが、地震で液状化が起こると道路が寸断される可能性があります。お尋ねします。
@23日の川本議員の質問で「墳砂をおこすような液状化現象はおこる可能性は低い」と答弁されましたが、地震の規模や距離はどのようなものを想定して出した結論でしょうか。
A災害時に現地対策本部などをはじめ区役所としての機能を保つための対策はどうとるでしょうか。
イ 埋設エチレンガス管の安全性について
岡山市内では南区海岸通付近から倉敷市水島にむけてエチレンガス管が通っています。ところどころ用水をまたいでエチレンガス管が露出しています。エチレンガスは可燃性ガスで、空気中の濃度が3.1%を超えると、火災や爆発の危険があります。高濃度では、窒息性と軽い麻酔性があり、液化ガスに触れると、凍傷の危険があります。ここでお尋ねします。
@今使われているエチレンガス管が通された時期と、更新の頻度、どれほどの地震に耐えられるのかを教えてください
A市として安全性の確保にどう責任を負っているのでしょうか。
ウ 児島半島の高潮対策について
7年前の台風16号で高潮や内水被害で多くの家々が水に浸かりました。その後堤防のかさ上げや、排水能力をあげるとりくみがされています。ただ児島半島では堤防の高さは高くなっても、何箇所かあるマリーナから高潮時に海水が入るのではないかという不安の声があります。
@堤防の管轄は県ですが、市として、マリーナの部分の高潮対策をどう考え、動いているでしょうか。
A潮位が上がったとき山からの水が排水できません。調整池を建設することはできるでしょうか。また排水にはどんな対策をとっているでしょうか。
2、作り続けられる農業と安全な食料生産について
(1)被災した農業への対策について
ア 今回、岡山市に移転し就農する被災農業者への支援として千百万円が計上されています。震災や原発事故で、今まで耕すことで生きてきた人が土から離れざるをえなくなっています。「耕したい」願いを市として応援する政策が大いに活用されることを願っております。ここで質問します。
@就農にはお金の支援だけでなく、農地や家、機械の確保についても市が紹介、斡旋することが必要です。少なくとも岡山市民に制度を知らせ、農地の情報を集める必要がありますが、どのような対応をとるおつもりですか。
A東北地方と岡山市では気候や農地の条件が大きく異なります。いち早く農業経営が軌道にのるためのサポートはどんなことを考えていますか。
イ 被災農地に代わっての作付増について
震災で耕せなくなった農地は20万haにのぼるといいます。コメ不足が起こる可能性があります。国から作付けを増やすよう話があったが、結局受けなかったと仄聞しております。
@国からの話と、どうなったかの経緯を教えてください。
(2)岡山の農業の応援を
ア 地産地消の推進について
地場産の農産物の消費を高めることは地元農業を支え、地域の経済をあたためます。各地の産直市はどこもよくにぎわい、安全で新鮮な食べ物への要求は強いと感じています。また子どもたちにとって、食べ物を作ること、作る人たちを身近に感じながら食べることは、日本の担い手を育てる力になると思います。ここでお尋ねします。
@学校給食では、地場産物活用状況調査を年2回実施していると聞いております。この調査回数を年4回に増やして地場産物の消費を促進できないでしょうか。あわせて過去3年の調査結果と向上に向けた取り組みをお示しください。
A生産農家の人たちと学校給食を結びつけるとりくみは何かありますか。
B小学校でつくっているコメを被災地の小学校に送りたいという声を聞きます。サポートはできないでしょうか。
イ スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)対策について
岡山市内の水田ではジャンボタニシの被害が深刻です。しかも年々北上し被害地域が広がっているといいます。倉敷市では緊急雇用創出事業でジャンボタニシ駆除事業を行っています。また岡山市では地域協働や、アイガモを使うなどのとりくみがおこっています。以下お尋ねします。
@ジャンボタニシ被害の実態をつかみ駆除を行なう必要があると思います。ご所見をお聞かせください。
A駆除を行う地域の活動への支援や、シルバー、緊急雇用創出事業の活用が必要と考えますがいかがでしょう。緊急雇用創出事業は本年度までですが、継続を求める考えはあるでしょうか。
ウ 市街地の農業の評価と応援を
市街化区域での農業は固定資産税が高く、本当に困難です。ある農家は「一反の田んぼで17万税金を払ってとれるコメは7万円」と語っていました。生産緑地という制度を使えば一般農地と同じ課税になりますが、30年間農地として維持しなければならないなど、農家に負担を強いることには変わりがありません。農林水産省は日本学術会議の行った農業の多面的機能の貨幣評価を紹介しています。洪水防止機能で年3兆4,988億円、気候緩和機能が年87億円など合計8兆2千億円余りの評価をしています。これは日本全体の農地の評価ですが、豪雨時の増水を押さえ、暑さをやわらげる役割は市街地の農地にとってとりわけ重要だと思います。夏の暑い街中で感じる田んぼをわたる風の涼しさは格別のものだと思います。では質問します。
@市街地における農地の役割を多面的に再評価し、応援する必要があると思いますがいかがでしょうか。
A市街地の農地への税負担軽減を国に働きかける、あるいは財政的な支援を行うつもりはないでしょうか。
エ TPP参加に反対の声を
民主党政権はTPP(環太平洋連携協定)参加をあきらめていません。TPPは“関税ゼロ”に例外をみとめず、人も物も出入り自由にするものです。“アジアの活力をとりこむ”といいますが、東アジア13カ国のうち参加は4カ国だけです。日本が加われば、日米だけで参加国のGDPの90.8%をしめることになり、事実上日本とアメリカの自由貿易協定です。アメリカは「日米経済調和対話」で、残留農薬や食品添加物で、日本独自の基準を認めない考えを示しました。日本経団連はTPP参加で移民の受け入れが必要との考えを示していますが、日本人の働く場が奪われることになりかねません。国民皆保険制度に自由化の圧力が加わるため、日本医師会は明確に反対しています。農業は、輸入に歯止めがかからず自給率は13%に急落し、壊滅です。岡山県では今年2月1日に農協・生協・森林組合・漁協・町村長ら46団体450人の参加でTPP阻止の集会が開かれています。
すでにミニマムアクセス米の輸入で米価は大きく下がっています。「先祖から受け継いだ土地に草を生やして近所に迷惑かけるわけにはいかない」「年金から持ち出ししてやっている」という声を聞きます。世界では食糧危機が叫ばれています。「安ければ海外から買えばいい」では世界に飢餓を広げます。政府は輸入自由化の誤りを認め、自国の食料は自分で作る「食料主権」を確立するときだと思います。まずはTPPに参加しないことです。ここで質問します。
@TPPの貿易障壁だといって食品添加物やBSEの安全基準をゆるめてはいけないと考えます。市長のご所見をお聞かせください。
ATPP参加で岡山県は582億円農産物の生産が減少するといいます。岡山市は農業への影響を計算するつもりはないでしょうか。
以上で私の初質問、第1回目とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
ブログランキングに反映されます。1日1クリックお願いします→
2011年06月28日
この記事へのトラックバック
資産運用法 FX-ARK(アーク)
Excerpt: 本当の資産運用方法をつめました。全ての為替トレーダーに読んでいただきたい。
Weblog: 資産運用法 FX-ARK(アーク)
Tracked: 2011-07-03 13:30
時間などの制限はどうなっているのでしょうか?
> B周辺に高い建物がない地域は、逃げ込める建築物をつくるというお考えはないでしょうか。
「山田駅のホーム」を見ると跨線橋やホームの骨組みが無事です。
鉄骨を組み上げた立体駐車場などでも一時的な避難なら十分に役立つと思います。
被災地報告 | すます伸子の活動日誌
http://angel.ap.teacup.com/1004/160.html